はじめに(2)

London 17

前回に引き続き、あと少しばかりこのブログ企画の執筆動機について。

今から遡ること約4年前2011年の4月、何気なくつけていたテレビでウィリアム王子とキャサリン妃の結婚式の模様を伝える生放送が始まりました。ぼんやりと目の端に入りこんでくるロンドンの街並みに、当時ネガティブな印象しかなかった彼の地での生活を、ふと懐かしんでいる自分に気付いたのです。

それは今まで感じたことのない不思議な感覚でした。イギリスでの記憶や思い出はほぼ全て英語によって焼きつけられているので、一度日本語だけで生活する状態となってしまうと、もしかしたらそれらの記憶も、さながら「不思議の国のアリス」の世界にでも紛れ込んでしまった時のもののように感じていたのかもしれません。しかし、ブリックレーンでよく行った古着屋の扉の色や、足の裏に感じたオックスフォードストリートの道の硬さなど、雑多な物ほど鮮明に脳裏に蘇ってくる。正直に言うと、僕の放浪に関しての正確な記憶を記録したいというよりも、今になって蘇ってくるそんな記憶こそ文章として残したいと思ったのです。これからこのブログを読んでくれようとしている皆さんにとって、読者を置き去りにするような執筆動機だとは思うのですが、僕だってビーボーイの端くれです。初期衝動に忠実に筆をすすめてみようと思ったのでした。それがこのブログのタイトル「スティルビーボーイ」の由縁。瑣末な記憶の羅列に目を通してもらえる皆さんに感謝しつつ。

(写真:ロンドンで借りていたアパートからの風景。とある雪の日)

 

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