はじめに(1)

London 28

記念すべき第1回。

先ず初めにこれを読んでくれている人に伝えておかないといけないのは、これから何回かに分けて掲載していく一連の文章は、2012年当時に書き溜めていた文章を、2015年現在必要に応じて加筆編纂したものだということ。その内容は主に2008年夏からのおよそ2年間のイギリス生活で訪れた国について言及しながら、日々感じたことや出くわした事件などを綴ったものになる予定です。それは旅行記のようで、エッセイのようで、備忘録のような、かぎりなく何処つかずな文章になるはず。それは覚悟しておいてください。と言いながらも、現地で撮った写真なんかも織り交ぜながら、出来るだけ皆さんを飽きさせないように努力しなければ。

2010年帰国当初、旅行記のような体裁で自分の経験をまとめようと試みたことがありました。しかし、何をどうやっても、ありきたりな企画と素材に思えて、どうしても駄目だった。では、何故記憶も不明瞭になった時にこのような文章を記そうと思ったのか、そしてさらに数年の歳月が経った今、それを読んでもらおうと思ったのか。もしかしたら、記憶が不明瞭になった分、それらが輝かしい思い出に形を変えてくれたからこそ、書ける気がしたのかも知れません。

2009年から本格的に住み始めたロンドンでは、その生活を通じて僕はかなりストレスを溜めていたように思います。単純に歴史や文化の違いと言ってしまえばそれまでですが、彼の地で外国人である僕は本当に多くの事に困惑したのです。

例えば、イギリスではテレビを視聴するのにテレビライセンスなるものを購入しなければならない。現地の銀行口座を開くのにも手間取っていた僕は、引き落としでこのライセンスの支払いが出来ず、どうもコーナーショップ(コンビニエンスストアのようなもの)でも支払うことが出来るということだったので、早速最寄りのコーナーショップを訪れてみたのです。しかし、どう見ても前時代のものとしか思えないような手のひらサイズの機械を、店主はうまく使えない。恐らく、そんな面倒な用向きを持ち込む客など、創業以来いなかったのでしょう。物も買わない僕に、彼が親切に応対する理由はないわけで。無愛想に突き返された書類を手に、二軒目へ向かう。そこで僕は先ずチョコレートを買ってみました。それが功を奏したのかどうかは分からないですが、そこの店主は先程の店主とは比べ物にならないほど親切に対応してくれたのでした。けれども、結果は変わらず「うちでは出来ない。お前の言っている住所が間違えているのではないか」というもの。最終的には無事ライセンス料を支払い、自宅でもBBCを見ながら英語の勉強が出来るようになったのですが、その日は結局このコーナーショップ巡りで一日終了。お陰で自分が住むエリアのコーナーショップは完全に網羅出来ましたが、一事が万事、全てがこのような調子。やはり僕のロンドン生活はストレスに満たされていたように思います。

(写真:ロンドンで借りていたアパートの最寄駅キングスクロス駅)

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